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遺伝子検査;遺伝性腫瘍総論:DNA修復機構①

皆様方に順番に,遺伝腫瘍についてご理解いただくために
ブログを書いていこうと思いますが.
疾患について言及する前に,知っておいたほうが良いことを述べていきます.

 

DNA修復機構ってなあに?

細胞の生命活動は遺伝子の機能に支えられています.

細胞の生命活動はタンパクによって制御されていて,そのタンパクの産生は遺伝子の発現により起るからです.
つまり遺伝子の変異はタンパクの変異を起こすことがあり,その変異タンパクが機能異常や機能不全に陥った場合,正常な細胞活動の維持が困難になってくるのです.

 しかし,DNAの損傷は,毎日繰り返されて起るのです.
紫外線や自然放射線(宇宙線がこれに該当します)への暴露といった外的刺激により毎日起こりますし,
体内でも免疫活動により発生する活性酸素によりダメージを受けたり,DNA複製・組み換えといった細胞の日常的活動の際に発生する間違い(大体10の8乗回に1回の割合で起るとされています)によってもDNAは損傷しています.

DNAの損傷は 細胞の老化や死,細胞の発生などを引き起こす原因となります.

がんは,1か所のDNA損傷で発生するのではなく,多段階のDNA損傷が積み重なって発生するものです.

DNAの損傷には,次のような様々なタイプがあります.

嫌になると思いますから,何種類かあることを理解してください.

 ①脱プリン反応: H+によるアデニンA,グアニンGの切断 ※プリン;プリン塩基のことでA,Gが該当します.自然に起きる脱プリン反応は,1細胞あたり1日約20,000ヶ所で起るとされています.

 

 ②脱アミノ反応: 水によるNH2→C=Oの変化 (アミノ;アミノ残基のことです -NH2)自然に起きる脱アミノ反応は,1細胞あたり1日200ヶ所で起るとされています

 ③チミン2量体(ダイマー)生成: 紫外線による損傷に該当します.Tが続いている配列で起ります.

  ④アルキル化: アルキル化剤→プリン塩基のN,O原子をアルキル化.S-アデノシルメチオニン→グアニンのN7メチル化.自然に起きるグアニンのアルキル化 1日約230,000ヶ所で起るとされています.

⑤ 活性酸素による酸化: ・OHラジカル→グアニンのC8-HをC-OHに変化.1日約170ヶ所で起るとされています.

 

こういった損傷に対して,細胞はDNA修復メカニズムで修復するのです.

このDNA修復も他の細胞活動と同じように,タンパクにより制御されていて,関連する遺伝子が多数報告されています.
これらの病的遺伝子変異は様々な遺伝性疾患の原因となることもわかってきました.

例えばATM(ataxia-telangiectasia mutated)遺伝子の変異によって進行性小脳変性,眼・皮膚の毛細血管拡張,易感染性を主徴とする毛細血管拡張性運動失調症Ataxia-telangiectasia: AT)という疾患がおこります.その他にも表に示すような遺伝子の変異を原因とした疾患が報告されています.(遺伝子はイタリック体,その翻訳産物であるタンパクは正体で表記します.)

 


タンパク 疾患
FANC complex Fanconi anemia
MRE11 Ataxia-telangiectasia-like disorder
NBS1 Nijmegen breakage syndrome
Rad50 Rad50 deficiency
DNA-PK DNA-PKcs deficiency
artemis Severe combined immunodeficiency (artemis deficiency)
LigIV LIGIV deficiency
XLF Severe combined immunodeficiency (XLF deficiency)
53BP1 Hyper IgM syndrome(mouse)
ATR Seckel syndrome
BLM Bloom syndrome
WRN Werner syndrome
BRCA1 hereditary breast and ovarian cancer
RNF168 RIDDLE syndrome

 

 

これらの疾患における症状は,「易発がん性」「免疫不全」です.

DNA修復遺伝子の変異によってこのような症状が起きるということは,換言するとDNA修復機構は,個体においてがんを抑制したり,免疫機能を保持したりするために重要なのです

そのため,DNA損傷応答の研究は,癌や免疫不全といった疾患を理解し,将来的な予防法や治療法に結びつけるという点で重要視されています

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新宿ミネルバクリニックの遺伝子検査の特徴:
当院では,がんに関係している遺伝子変異を一度の検査で網羅して調べられるように
汎がん遺伝子パネルを用意しています.
今までは,BRCA1/2だけで大体25万円くらいで行っていましたが,BRCA1/2が関係する遺伝性乳がん卵巣がんだと疑って検査しても,病的変異が見つかる確率は半数くらいです.

それでは,残りの方々が,
①遺伝子に塩基配列以外の異常があるのか
②他の遺伝子に異常があるのか

がまったく判らなかったのです.

海外では,パネルといって,複数の遺伝子を一度に検査するというのがスタンダードとなっています.
一度に検査するメリットは,現段階で考えられるものを網羅している,ということと
一度に検査することにより遺伝子1個あたりの単価を非常にお安く出来るということです.

現在,日本では行えませんので,アメリカに提出しています.

アメリカでは1980年代に,CLIAという法律が出来て,臨床検査について標準化しなければならないと定められています.
臨床の検体を出すのに,基準が決められているということが,アメリカにお出しする大きな理由です.(それ以外にもメニューとして他の国の検査会社も用意しています.)

当院の遺伝子検査パネルであれば,BRCA1/2も含んでいて,また,次世代シークエンサーでは検出できない巨大欠失なども検出すべくMLPA法も必要な遺伝子には同時に行って,1遺伝子あたりの単価は5000円を切っています.

当院でも,BRCA1/2だけを検査すると,一番お安く検査を出しても12万円+消費税,となります.

また,パネルの種類も,がんだけではなく,多数ご用意いたしております.

癌:乳がん卵巣がん,リンチ症候群,膵臓がん,甲状腺がん,褐色細胞腫瘍,汎がん

  • 循環器:汎心臓病,ブルガダ症候群,拡張型心筋症,肥大型心筋症,突然死症候群,不整脈,QT延長症候群,
  • 神経・筋疾患:筋萎縮性側索硬化症,Charcot Marie Tooth病,先天性筋無力症症候群,遺伝性末梢神経障害,遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー,筋ジストロフィー,筋強直症候群・横紋筋融解症,遺伝性神経障害,痙性四肢麻痺,汎神経筋疾患
  • 精神・神経疾患:自閉症,癲癇,知的障害,白質脳症,パーキンソン病・アルツハイマー病・認知症,X染色体関連知的障害
  • 呼吸器:線毛不全症,肺疾患
  • 骨・結合織:結合織病,骨格形成異常,マルファン症候群・胸部大動脈瘤,
  • 内分泌・代謝:糖尿病肥満,ライソゾーム病
  • 眼:眼疾患,緑内障,加齢黄斑変性,色覚障害,網膜色素変性症,
  • 耳:難聴,
  • 腎臓病,ステロイド抵抗性ネフローゼ, アルポート症候群,
  • 皮膚:先天性白斑症
  • 消化器:慢性膵炎
  • 血液:血液凝固異常など.

詳しくは,info@minerva-clinic.or.jp ,電話 03-5272-3768 までお問い合わせくださいませ.

当院では,お仕事が終わってから遺伝カウンセリングを受けられるように,予約制で夜間診療も実施しております.

 

遠方の方で来院できない,と言う場合でも,対応できるように考えますので,まずはお問い合わせくださいませ.

また,DTC遺伝子検査との違いが判らないというご質問をよく受けますので,記載いたします.

  • DTC(Direct to Customer)遺伝子検査とのちがい
    DTCは口腔粘膜などを自分で採取して検査会社に送るというスタイルの遺伝子検査です.ゲノムのなかのSNPを利用して検査結果を出しています.
  • ある生物種集団のゲノム塩基配列中に一塩基が変異した多様性が見られ,その変異が集団内で1%以上の頻度で見られる時,これを一塩基多型SNP : Single Nucleotide Polymorphism)と呼ぶのです.300塩基に1個のSNPがあり,ヒトゲノム全体で約1000万ヶ所,遺伝子領域では100万ヶ所のSNPが あると考えられています.遺伝子領域にあるSNPは、作られるタンパクの時期や量,機能に違いを生み出すことがあります.
    疾病罹患群と健常群の間で,あるSNPの塩基出現頻度を調べた結果,有意差があるということは,このSNPマーカーの近傍に疾病発症に関わる変異が存在する確度が高いことを示しています.
    しかし,仮に罹患率が高いSNPタイプ(=くじ引きにたとえると「凶のくじ」に相当)を持っていたとしても,本人がその変異(=「現実の災い」に相当)を保有しているかどうかはわかりません.

このように,SNPタイピングに基づくDTC遺伝学的検査は,疾病罹患性を予測することができないのです.

  • これに比べて,遺伝子検査の場合,該当する遺伝子の塩基配列をすべて決定して,異常がないかを直接調べますので,直接にその疾患罹患性が判ると言う決定的な違いがあります.
  • 遺伝子ドックとのちがい
    遺伝子ドックは,血液のなかに含まれる「がん細胞に特徴的な遺伝子の発現」を検査することで,がんに今罹患しているのかどうかを知るための検査です.=今がんにかかっているか?
    これに対して,遺伝子検査は,体中の細胞が生まれつき持っている「疾患にかかりやすい遺伝子変異」の有無を直接調べるという違いがあります.=将来がんにかかりやすいか?
  • NGS(次世代シークエンサー)の場合,一つの遺伝子を検査するのも,複数の遺伝子を一気に検査するのも,手間としてはそんなに変わりませんので,パネルになると,1遺伝子あたりの費用が下がります.

当院では,アメリカの会社に検査を提出しています.
アメリカは1980年代から臨床検査は法律で標準化・適正化されていますので,当院が検査を提出するラボも,こうしたアメリカの厳しい基準を満たすものです.
また,次世代シークエンサーNGSによるシークエンシングは,大きな欠失や一部が重複しているといった異常は検出できません.そこで,そういう異常により引き起こされる表現型があるとわかっている遺伝子については,MLPA法と呼ばれる方法で,検査します.
世界トップレベルのハイクオリティーな検査をお約束します.

  • 検査結果は英語で返却されますが,責任を持って日本語に翻訳いたします.
  • 当院では,内科専門医,がん専門医,遺伝専門医が,この検査に対応しています.この専門医は大変少なく,日本でもこの3つの専門医を持っているのは,1人のみです.
  • 遺伝カウンセリングは,ご自宅や宿泊先などに出向いて行うことも可能です.
    周囲を気にせず,落ち着いた環境で遺伝カウンセリングを受けることが可能です.

アメリカのNCI国立がん研究所のがんのスクリーニング方法のなかには,身体検査,血液検査,画像検査についで,遺伝子検査が挙げられています.*アメリカではDTC遺伝子検査は現在禁止されています.

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら